前提要件

一般的に、回帰モデルは応答変数の条件付き期待値を推定するため、回帰には潜在的な結果という概念がありません。ただし、条件付き交換可能性と整合性という主な仮定に基づくと、次のように解釈できます。

$$ E \Biggl( \overset \sim Y_{g,t}^{ \left(\left\{ x_{g,t,i}^{(\ast)} \right\}\right) } \Big| \bigl\{z_{g,t,i}\bigr\} \Biggr) = E \Biggl( \overset \sim Y_{g,t} \Big| \bigl\{z_{g,t,i}\bigr\}, \big\{x_{g,t,i}^{(\ast)}\bigr\} \Biggr) $$

主な仮定

  • 条件付き交換可能性:

    \( \overset \sim Y_{g,t}^{(\{ x_{g,t,i}^{(\ast)} \})} \)は、任意の反事実シナリオ\(\bigl\{ x_{g,t,i}^{(\ast)} \bigr\}\)の確率変数\(\bigl\{ X_{g,t,i}^{(\ast)} \bigr\}\) とは独立しています。そのため、潜在的な結果のセットは、広告主様の過去のメディア マーケティングの判断とは条件付きで独立しています。

  • 整合性:

    \(\bigl\{ X_{g,t,i}^{(\ast)} \bigr\} = \bigl\{ x_{g,t,i}^{(\ast)} \bigr\}\)の場合\( \overset \sim Y_{g,t} = \overset \sim Y_{g,t}^{ (\{ x_{g,t,i}^{(\ast)} \}) } \) になります。つまり、広告主様の過去のメディア マーケティングと一致する反事実的シナリオを対象とした、潜在的な結果の観測済み KPI の実現です。

これらの仮定に基づいて、前述の結果が得られます。

$$ E \Biggl( \overset \sim Y_{g,t}^{ \left(\left\{ x_{g,t,i}^{\ast} \right\}\right) } \Big| \bigl\{ z_{g,t,i} \bigr\} \Biggr) \overset{\text{exchangeability}}{=} E \Biggl( \overset \sim Y_{g,t}^{ \left(\left\{ x_{g,t,i}^{\ast} \right\}\right) } \Big| \bigl\{ z_{g,t,i} \bigr\},\ \bigl\{ x_{g,t,i}^{(\ast)} \bigr\} \Biggr) \overset{\text{consistency}}{=} E \Biggl( \overset \sim Y_{g,t}\ \Big| \bigl\{ z_{g,t,i} \bigr\},\ \bigl\{ x_{g,t,i}^{(\ast)} \bigr\} \Biggr) $$

整合性の仮定は非常に直感的であり、反事実が明確に定義されていないか、データで正確に表されていない場合を除き、成立します。詳細については、Hernan MA、Robins JM、(2020 年)Causal Inference: What If をご確認ください。

条件付き交換可能性の仮定は、それほど直感的ではありません。この仮定は、すべての交絡変数が測定され、コントロール配列 \(\{z_{g,t,i}\}\)に含まれている場合に成立します。交絡変数とは、観測済みのパターン群 \(\{x_{g,t,i}\}\) と結果\(\{\overset \sim y_{g,t}\}\)の両方に因果関係を持つ変数です。パターン群に対する因果効果とは、広告主様の全体的な予算レベル、チャネルごとの配分、地域ごとの配分、期間ごとの配分の効果を意味します。実際には、すべての交絡変数が測定されているかどうかを判断するのは困難です。これは純粋な仮定であり、データからこれを判断できる統計テストはありません。ただし、バックドア基準(Pearl, J.,2009 年)と呼ばれる条件を満たす因果グラフを仮定すると、条件付き交換可能性の仮定が成立するということを知っておくと役立ちます。詳細については、因果グラフをご確認ください。